大阪大学 先導的学際研究機構 大久保研究室

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研究内容

光化学を鍵として化学、薬学、医学、農学などの異分野融合をすることによって新しい技術開発を行っています。例えば、二酸化塩素の光化学によって酪農由来バイオガスをメタノール・ギ酸などの液体エネルギーに変換する化学反応開発や、特異な光を吸収する触媒を用いた新規治療薬の開発を進めています。

二酸化塩素を用いた化学反応の開発

バイオガスからメタノール合成

特許第6080281号
Ohkubo, K.; Hirose, K. Angew. Chem. Int. Ed. 2018, 57, 2126

水・フルオラスの二相光反応系

バイオガスを有用物質へ化学変換

カーボンニュートラルなエネルギー生産へ

量産化へ向けて研究進行中!

カーボンニュートラル循環型酪農

新規有機フォトレドックス触媒と光化学反応の開発

光によって駆動する化学反応技術を用いて炭化水素の炭素−水素結合を活性化し酸素化する手法の開発を行った。従来、炭化水素の炭素−水素結合の活性化には環境的・エネルギー的に多大な影響を及ぼす重金属触媒や高温高圧などが必要であったが、可視光応答型有機触媒の電子移動過程を制御することによって重金属触媒フリー・常温常圧で進行する酸素化反応を開発することに成功した。例えば、光合成の電荷分離寿命をはるかに超える長寿命かつ高エネルギーの電荷分離状態を有する電子ドナー・アクセプター連結系分子を世界に先駆けて見つけ出した。その中でもアクリジニウム光触媒は有機フォトレドックス光触媒として知られるようになり、その強い酸化力のため様々な炭化水素の炭素−水素結合を活性化することができるため有機合成化学研究において大きな貢献を果たしている。この分子を光触媒とした種々の光合成型光触媒反応開発へ展開し、その結果、有機化学反応の中で、最も困難な反応と言われている化学反応に挑戦し、ベンゼンからフェノールの1段階変換などを達成している。

 

リチウムイオン内包フラーレン(Li+@C60)の化学

リチウムイオン内包フラーレン(Li+@C60)は、電子供与体との光誘起電子移動による還元反応では、純粋なC60に比べて反応性が大幅に向上する。Li+@C60の反応性の向上は、Li+@C60の1電子還元電位+0.14 V(SCE),C60の1電子還元電位(0.43 V)よりも高いことに起因する。Li+@C60は、静電相互作用により、様々なアニオン性電子供与体と強い超分子錯体を形成することができる。また、Li+@C60は、環状ポルフィリン二量体、コラニュレン、クラウンエーテル縮環モノピロロテトラチアフルバレンなどの様々な電子供与体と強い超分子錯体を形成することができる。電子供与体からLi+@C60への光誘起電子移動により、電子供与体とLi+@C60との超分子錯体の長寿命電荷分離状態が得られた。Li+@C60と亜鉛スルホン化メソテトラフェニルポルフィリンの超分子ナノクラスターからなる光電気化学太陽電池は、単一成分のみを含む参照系よりも光電気化学的性能が著しく向上した。